/ レースレポート

12月を間近としていることもあり、厳しい寒さを覚悟の上で迎えた2025年の最終戦。さすがに朝晩には冷え込んだものの、日中はそれほどでもなく、むしろ冷えた空気がエンジンを心地良く回し、レコードタイム更新の期待も込められていた。

だが、タイヤには厳しい条件ともなっていて、普段なら計測1周目に行うアタックを、今回は1周のウォームアップを挟み、計測2周目に実施。ところが、走路外走行があって、そのタイムは採用されず。やむなくもう1周攻め込むも、タイヤはすでにピークを過ぎており、1分46秒926を出すに留まって中山選手は31番手、最後尾スタートを余儀なくされる。

先駆けて行われたクラブマンシリーズでは、箕輪選手が一発を決めて1分48秒161を記したものの、惜しくもグループ2番手に終わり、首の皮一枚残していたチャンピオン獲得の希望は絶たれてしまう。それでも決勝は3番手からのスタートとあって、今季初優勝の期待が込められた。

中山雄一選手
「車の状態は若干良くなっていましたが、根本的には直っていなくて、全然グリップしなかったです。四脱しちゃったんですけど、それで少しロスしていて、うまくいっても45秒0ぐらいで、20何番手になっていたかな、という感じでした。何が原因かわかりませんが、もうこれ以上、決勝で下がることはないので思い切り走ります」

箕輪卓也選手
「ちょっとトップのタイムは見えない感じで、悔しさはあるんですが、とりあえず全体として2番手のタイムということで、チャンピオンになったドライバーには勝てたので、しっかり切り替えて、明日は優勝目指して頑張ります。昨日もしっかり復習して、いいイメージで走れて……、いや、ちょっと最終コーナーで決めきれないところはありました。うまくいっていても追いつかなかったでしょうから、それだけトップがすごかったということですね」

決勝当日の岡山国際サーキットは引き続き天候に恵まれ、プロフェッショナルシリーズのスタート進行開始は11時45分とあって寒過ぎず、程よいコンディションとなっていた。

最後尾スタートを強いられていた中山選手ではあったが、ダッシュは鋭く、コントロールラインを通過した時には早くも2台を抜き、さらにオープニングラップのうちに25番手に浮上。2周目にはもう1台抜いて、そのまま順位を上げ続けてくれると思われたが、コースアウトした車両を回収するため、セーフティカー（SC）が3周目から2周に渡って導入されてしまう。期待がかかったリスタート後のオーバーテイクも、ストレートでの伸びを欠き、前の車両にぴたりと着いていても、抜き切るまでには至らず。

9周目から再びSCが導入され、残り1周でバトルは再開されたものの、やはり我慢のレースを強いられることに……。それでも、先着したドライバーにタイムペナルティが課せられたため、ひとつ順位を繰り上げて中山選手は、今季最終戦を23位という結果で終えた。

一方、9時30分からスタート進行が開始されたクラブマンシリーズでは、箕輪選手は3番手からスタート。まずはポジションキープでレースを開始し、予選を終えた段階でチャンピオンを決めたドライバーを従え、激しく3番手争いを繰り広げた。一時は離されていたトップのペースが上がらず、2番手争いも激しくなる中、10周目には完全に追いついて4台でトップを争うように。

しかし、抜き切るまでの決め手を欠いたばかりか、逆に最終ラップのアトウッドコーナーで4番手に後退。それでもトップはスタート違反のペナルティで降格し、箕輪選手は3位に繰り上がり、最終戦を表彰台に上がって終えることとなった。

中山雄一選手
「スタートだけは良かったですね。タイヤが冷えたところは差をつけられるんですが、その後、温まっちゃうとコーナーもダメだし、直線も遅めという感じなので。全然、勝負にならなかったですね。最後を締めたかったんですが、波があるのが86なので、しょうがないですね」

箕輪卓也選手
「最初からペースが今ひとつ上がらなかったんですが、ずっとチャンピオンをいい感じで抑えられていたんですけど、最後は抑えきれなかったですね。中盤で前がバトルして一回追いついたんですけど、まぁ、抜くまでの勢いが作り出せずに、後ろも詰まってくるので、前と後ろの対応で、どうしても後ろとの対応になってしまって……。かなり悔しいんですけど、チャンピオン獲れなかったのも、今年１年の結果なので、来年どうなるかわからないですけど、切り替えてシーズン、準備して来年に向けて頑張りたいと思います

中居邦宏エンジニア
「雄一くんには予選で不運があったとしても、基本的に全然ダメだったので、元々。まぁ、セットアップなのか、まともには行っていないですね。ここまで出たレースは入賞していたので、今回も行って欲しかったですね、仕方ない。箕輪くんはね、１回も勝っていないですからね、１回ポールは獲りましたけど。１回も勝っていないのが問題というか、そこがないとシリーズポイントで上には行けないので、１回でも勝ちたかったですね。まぁ、もてぎがもし、普通に走れていれば、たぶんもうちょっと前に行ったんじゃないかと。そうすれば、最後まで接戦で来られたんじゃないですかね。もてぎだけすごくポイント落としているんで、そこだけが問題でしたね」

グェンメカ
「サーキットは今回が初めてです。いい経験になりました。普段はサービスの整備士をやっています。この経験を活かせそうです。またサーキットには来たいですね」

佐伯メカ
「サーキットは初めてになります。こんな近くでレースを見たことがなかったので、速度の感じだったり、緊迫した雰囲気を味わえて、いい経験になったのと、平場で車をいじらせてもらって、工場より不便なところでやっているのに、迅速にかつ丁寧にやっていますので、見習いたいと思いますね。今回は平場でのタイヤの付け替えやジャッキアップがメインだったんですが、それとあとタイヤのシェービングをやらせていただきました。また機会がありましたら、参加させていただきたいです」

藤井メカ
「サーキットは何度か今まで行ったことはありますが、レースメカニックとしての研修は初めてです。何回か行く機会があって、筑波とかもてぎには行っていまして、岡山までのレースメカとしての参戦は初です。やっぱり映像とかお客さん目線で見ているレースより、レースメカとして車両の整備や取り回しを見せてもらって、緊迫感もあって楽しかったです。また機会があればやりたいです」

石山メカ
「今まで研修で何度か、もてぎに研修で行かせてもらいました。707号車の整備を、タイヤの付け替えだったり、シェービングですね、そのあたりの作業をやらせてもらいました。一般の方の車両とやる作業とは違って、タイヤについての知識もついたと思うので、そのあたりをお客さまとのコミュニケーションの中で使っていけたらと思っています。

中山メカ
「サーキットに入ったのは初めてです。やっぱり1分1秒、無駄なことはできない、忙しい環境でした。今回はタイヤのカス取りとか、あとは内圧、そういったところをやっていました。びっくりしました、あそこまで内圧を四輪全部、細かいところまで変えるの、知らなかったですね。自分は普段、点検班で12点検とか半年点検を入ってから一般整備とかやっています。もうちょっと早くできるようにしたいなって思いました。またやりたいです」

2025シーズンも、これにて終了。プロフェッショナルシリーズでは、中山選手の連続入賞が途絶え、本来の実力を発揮させられず、シーズンを終えさせたことが悔やまれる一方で、クラブマンシリーズでは、惜しくもチャンピオンは逃したものの、箕輪選手が全戦入賞により、ランキング2位を獲得した。来季もIBARAKI TOYOPET RACING TEAMはGR86/BRZ Cupに引き続き参戦を予定。より一層の結果を残せるよう、再び努力する所存です。ご期待ください。